電気通信工事施工管理技士の給与・年収のリアル
「施工管理の年収って実際どうなの?」——資格の紹介記事は多くても、当事者の本音はなかなか出てきません。この記事は、電気通信工事施工管理技士として建設業界で実務を続けてきた筆者が、自分自身の年収の推移をもとに、できるだけ正直に給与のリアルを書いたものです。
結論:電気通信工事施工管理技士の年収レンジ
先に結論から書きます。筆者の実感として、電気通信工事施工管理技士の年収は、20代で400〜600万円台、30代で600〜900万円台というのが一つの目安です。もちろん勤務先の規模・地域・残業量・役職によって大きく変わるので、あくまで「一人のリアルな体感」として読んでください。
世間で「施工管理は稼げる」と言われることがありますが、これは半分本当で半分は誤解だと感じています。額面だけ見れば同世代の平均より高くなりやすい一方、その金額には相応の残業代が含まれていることが多いからです。この記事では、そのあたりも包み隠さず書いていきます。
筆者の年収推移(ふんわり公開)
まず、筆者自身のたどってきた年収の推移を、ざっくりとした傾向でお見せします。特定を避けるため正確な金額や年度は伏せますが、上がり方の「形」は実際のものです。
| 時期 | 年収の目安 | 状況 |
|---|---|---|
| 入社1年目(研修期間) | 400万円前後 | 社内研修が中心。現場配属前。 |
| 2年目 | 500万円台 | 現場に出始め、残業代が加わる。 |
| 20代のあいだ | 600万円前後で推移 | 経験を積みつつ、しばらく横ばい。 |
| 30代前半 | 700〜900万円台へ | 担当規模・役割が増え、段階的に上昇(一部見込み含む)。 |
ポイントは、右肩上がりに「ずっと」上がるわけではないということです。筆者の場合、20代の中盤から後半にかけては、年収がしばらく横ばいの時期がありました。ここで「思ったより上がらないな」と感じる人は少なくないと思います。伸びるのはむしろ、経験を積んで任される仕事の幅が広がってからでした。
なお筆者は大学院を卒業して新卒でこの業界に入りました。学部卒か院卒か、新卒か中途か、といった入り口の違いでもスタート地点は変わります。上の数字は「院卒で新卒入社した一例」として受け取ってください。
なぜこの水準なのか——残業と年収の正直な関係
ここは、多くの紹介記事が触れない部分なので正直に書きます。上に挙げた年収には、繁忙期の残業代がかなり含まれています。筆者の場合、年間の残業時間が800時間規模になる年もありました。単純計算で月平均60〜70時間ほどで、繁忙期はさらに多くなります。
つまり、「年収が高い=ラクして稼げる」ではありません。額面の一部は、長い労働時間と引き換えに得ているものだという認識は持っておいたほうがいいと思います。時給に換算して考えると、印象はまた変わってきます。
逆に言えば、これは働き方改革で残業が減っていくと、年収も下がりうるということでもあります。近年は建設業でも残業上限の規制が進んでいるので、今後は「残業に頼らずに年収を保つ・上げる」ことがより重要になっていくと感じています。
近年の賃上げ動向(公的データ+体感)
ここ数年、給与について明らかに空気が変わったと感じています。数字の裏付けも取りながら、経験者としての体感を重ねてみます。
まず全体の傾向として、公的な統計でも近年の賃上げははっきり表れています。厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査では、建設業の平均年収はおよそ565万円、月給の平均は約38万円、年間ボーナスの平均は約105万円とされています(勤続や規模を問わない全体平均)。世間の「建設は稼げる」というイメージは、平均で見ればあながち外れていません。
そして注目すべきは、賃上げの勢いです。賃上げ率は2022年ごろまでほぼ横ばいでしたが、2023年から上昇に転じ、2024年には全体平均が33年ぶりに5%を超える歴史的な水準になりました。建設業に絞っても、令和6年の調査では賃上げを実施した企業がほぼすべて(約99.7%)にのぼり、引き上げ額の平均は1万5千円台、前年比で4%を超える増加でした。
この流れは、筆者自身の給与にも実感として表れています。前の章で触れたとおり、筆者の年収は30代前半で大きく上がりましたが、これは自分の昇格だけでなく、業界全体の賃上げの追い風も重なっていると感じています。数年前なら考えにくかった上げ幅が、ここ数年は現実に起きている、というのが正直な体感です。
背景には、2024年から始まった残業時間の上限規制や、深刻な人手不足があります。人を確保するために待遇を上げざるを得ない、という構造的な圧力が働いているのです。電気工事・電気通信のような専門分野は、有資格者の需要が高く、この追い風を受けやすい立場にあると感じます。とくに電気通信工事施工管理技士は資格として新しく、有資格者がまだ少ないため、今後も価値は下がりにくいと見ています。
ただし、注意も必要です。賃上げの一方で物価も上がっているため、「額面が増えても生活が楽になった実感は薄い」という声も現場では聞きます。額面の伸びだけでなく、手取りや物価とのバランスで見ることが大切です。
年代別に見る、給与の上がり方
20代:伸びしろの時期だが、横ばいもある
入社直後は研修などで現場に出ない期間があり、残業代が少ないぶん年収も控えめです。現場に配属されて実務が始まると、残業代が加わって一段上がります。ただ、そこからしばらくは大きく伸びず、横ばいに感じる時期があるのが実感です。この時期に資格を取っておくと、後の昇給・昇格で効いてきます。
30代:役割の広がりで上がりやすい
経験を積み、担当する現場の規模や責任が大きくなると、基本給や役職手当が上がっていきます。筆者の場合も、年収が明確に伸びたのは30代に入ってからでした。資格・経験・任される仕事の3つがそろってはじめて、年収に反映されていくという順序だと感じます。
年収を上げるために効いたこと
筆者の経験上、年収アップに実際に効いたと感じるのは次のような点です。
- 施工管理技士の資格を取得すること。資格手当がつくだけでなく、任される現場の幅が広がり、その後の昇格につながります。電気通信工事施工管理技士は2019年新設と比較的新しく、有資格者がまだ多くないため、持っている価値は高いと感じます。
- 担当できる工事の種類・規模を増やすこと。「この人ならこの現場を任せられる」と思われる範囲が広がるほど、評価は上がりやすくなります。
- 経験を言語化して実績にすること。どんな現場でどんな課題をどう解決したか、を説明できると、社内評価でも転職市場でも強くなります。
逆に、残業を増やして年収を上げるやり方は、短期的には効いても長続きしません。健康や生活とのバランスを崩すと元も子もないので、筆者は「残業ではなく、任される幅で上げる」方向を意識するようになりました。
お金以外の「割に合うか」という視点
年収の話をすると数字ばかりに目が行きますが、実際に働くうえでは「その金額が自分にとって割に合うか」が大切だと思います。施工管理は責任が重く、工期や品質のプレッシャーもあり、繁忙期は生活の多くを仕事が占めます。その大変さを踏まえたうえで、それでも「モノや街が形になっていく達成感」に価値を感じられるかどうか。ここは人によって答えが分かれる部分です。
お金の面だけを切り取れば、同世代の平均と比べて悪くない水準になりやすい仕事です。ただ、その裏側にある働き方まで含めて判断してほしい、というのが経験者としての正直な気持ちです。
これから目指す人へ
これから施工管理を目指す方、あるいは今まさに資格取得を検討している方へ。年収は、資格・経験・任される役割が積み重なって、あとから付いてくるものだと感じています。最初の数年は思ったより上がらず不安になるかもしれませんが、資格を取り、経験を積んでいけば、着実に評価される世界です。
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参考データの出典:厚生労働省「令和6年 賃金構造基本統計調査」「令和6年 賃金引上げ等の実態に関する調査」、日本労働組合総連合会 春季生活闘争の集計。数値は各調査の公表値に基づく概数です。最新の数値は各機関の公式発表をご確認ください。
※本記事の年収は筆者一個人の経験に基づく目安であり、金額・推移は勤務先・地域・時期・役職により大きく異なります。特定の企業・水準を保証するものではありません。